みなさんポッドキャスト番組「OVER THE SUN」をご存じでしょうか?
コラムニストのジェーン・スーさんと、フリーアナウンサーの堀井美香さんがパーソナリティーを務める、今大人気のポッドキャスト番組なんです。
私はわりと初期からこの番組を聞いていましたが、どんどん口コミで人気が広がり、ついに来年にはLINE CUBE SHIBUYA(旧渋谷公会堂)で2日間イベントを行うまでになってしまいました。おばさんのネットワークや恐るべしです。
残念ながら私の周りでは聞いている人がいないので、ここでOTSの魅力を存分に語りたいと思います!
ジェーン・スーさんと堀井美香さんの飾らないおばさんトーク
私はこの番組でお二人のことを知ったのですが、最初にこの二人を組み合わせようと考えた人天才だな!と思うほど、本当に最高の組み合わせなんです。
スーさんは東京出身で、新卒から複数の会社を経験し、現在フリーランス、独身。堀井さんは秋田県出身で、去年27年勤めたTBSを退社し、現在フリーランス。20代で結婚出産をしています。
わりと正反対の経歴のお二人ですが、お互いの生き方を認め、またリスペクトしているのが伝わってきます。
外見のイメージから、スーさんは悩み相談とかバッサバッサ斬るタイプかと思っていたんですが、実際はとても寄り添ってくれる。でもトークとかツッコミはキレッキレッ。
堀井さんはコンサバな外見と優しい声からはイメージできないほど、ツッコミどころ満載で、実はとてもエキセントリック。
スーさんには他人を巻き込んでどんどん新しいことをしていくパワフルさ、堀井さんには自分のビジョンを確実に実行していく芯の強さがあります。
この二人が組み合わさると、スーさんの存在で堀井さんがのびのびでき、また堀井さんの突拍子もない発言にスーさんがワードセンスの塊のツッコミをして、最高の笑いが生まれるのです。
そして特に女性は分かると思うんですけど、この二人ガチで仲がいいんですよ。だって仲のいい女友達がしゃべっているときの感じ、そのままですから。どんどん話が脱線していくところとか、楽しすぎて笑いが止まらなくなるところとか。
笑いのツボが合う人とだと、ホントくだらないことでずっとゲラゲラ笑っちゃうのとか、すごい分かるなーと思いながらいつも聞いています。
もし「おばさんて何をそんなに長々しゃべってるんだろう?」という人がいたら、この番組を聞いてみてください。このまんまですから。
笑いのスキルが高すぎるリスナーたち(通称・互助会)のメールの数々
面白いのはパーソナリティーだけではありません。この番組を支えているのはリスナー、通称・互助会と呼ばれている人たちです。
そしてこの互助会員たちの笑いのスキルがとにかく高い!
初めてラジオにメールするという人も多いのに、みなさんメールのレベルが高くて、完成されているのです。これも年齢の為せる技。
特に「私はこんな妄想をしている」系のメールは、もういい意味でヒドすぎる笑。みんなこんなアホなことを考えているのかと。
おばさんたちはごくごく普通の日常も、妄想も、時には悩みや理不尽な出来事だって、笑いに昇華して生きているのです。
例えば「推し活」ひとつ取ったって、妄想して頭の中で楽しむもよし、推しを作品にして視覚的に楽しむもよし、推しを研究対象にしてもよし、無限の楽しみ方があります。おばさんたちは人生を楽しむ手間を惜しみません。
そんなおばさんたちの面白メールを聞いていると、世のおばさんたちは、あえてみんな面白さを隠して生きているのでは?とさえ思えてきました。
今までなんとはなしに、おばさんの面白さというのは内輪でしか出されていなかった気がします。
でもこの番組で「おばさんもはしゃいでいいんだ」という空気ができ始め、今まで隠されていたおばさんの面白さが、思う存分出せるようになったのです。
「おばさんは面白い」、この番組が私に教えてくれました。
「おばさん掲示板」として、様々なおばさん情報が集まってくる
「OVER THE SUN」、略しておばさん。その名の通り、この番組のリスナーはアラフォー、アラフィフのおばさんが中心。みなさんラジオネームならぬおばさんネームで、メールを送ってきます。
そしてこの番組はおばさん同士の情報交換の場となっているのです。
なにせ番組が始まって最初のメールテーマが「離婚」。私は結婚もしたことがないので離婚には無縁ですが、みなさんのメールを聞いているうちに「みんな頑張ってる!」と非常に励まされました。
他にも「閉経」「VIO」「中年の恋」「事実婚」など、他の番組では聞けない、おばさんゆえの悩みや体験談の数々。
特に閉経についてはなんだか触れてはいけない後ろ暗い話題のイメージでしたが、互助会員たちの「みなさんのお役に立つのなら」精神で、様々な体験談を聞くことができました。こういう普段あまり触れられることのない話題も、体験者のリアルな声が聞けるのがこの番組ならでは。
個人的に印象に残ったのが「中年の恋」の回で、「誰にも話せないんだけど誰かに聞いてほしい」という気持ちが、メールの文面から伝わってきました。こんな年で年甲斐もなく恋なんてしてもいいのかしら?とか、これが人生最後の恋かしら?なんて考えてしまうのが、中年の恋なんですねえ。
老いからくる体調不良みたいな笑えるものから、中年ゆえの一歩踏み出せない気持ちなど、様々なおばさんのリアルをメールにしたためて送ってくれる互助会員たち。
ひとつひとつのメールが印象的なのは、それが番組の送ったメールというよりも、それぞれの人生を綴った「告白」のようなものだからでしょう。
色々なことを乗り越えてきたおばさんたちの言葉に救われる
互助会の名のとおり、リスナーたちはお互いに助け合っている関係にあります。 悩める人を励ます人生経験豊富なおばさんたちからの、熱いメールの数々。そんな交流が番組内で行われています。
ネタメールも面白いですが、おばさんたちの様々な人生の話は、ドキュメンタリーのような濃さがあります。ポッドキャスト番組なので、わりと長文のメールを読んだり、またじっくりとリスナーに向き合うことができるのです。
人生を自分で切り開いた者、まさに今人生の転換期にいる者、これから人生を変える決意をした者。様々な人生がそこに交差し、お互いを応援しています。
神回「私を救ったエンタメ」では、まさに人生が変わった瞬間というのを、たくさん聞くことができました。この回が放送されたのは、コロナ真っ只中の2021年。舞台やライブなどのエンタメがどんどん中止されていく中、改めてエンタメの偉大さ必要さを再確認できました。
そしてまたこの番組で人生が変わったという人もたくさんいるのだと思います。
抽選でリスナーにノートパソコンがプレゼントされる企画では、応募の際に「パソコンが当たったら何に使いたいか」という理由も必要でした。そこにはたくさんの「人生を変えたい」という気持ちが集まってきたのです。
この番組の中では、新しい一歩を踏み出したり、新しい場所に行くことを「沖に出る」と言っています。この言葉が番組のキーワードになったとき、「ちょっと自分も沖に出てみようかな」と思った人も多いのではないでしょうか。
そしてこの番組全体をとおして伝えたいことってやっぱり、繰り返し言われているように「負けへんで」っていうことなんじゃないかって思うんです。
「勝ちには行かないけど、負けへんで。」
ガツガツ行くわけじゃないけど、諦めるわけでもない。頑張ってる感じ出してないけど、実はめっちゃ戦ってる。これがおばさんの戦い方なのです。
もはや番組の枠を超えて交流するおばさんたち
互助会員たちの結束は固く、もはや番組の外でも勝手に集まるようになりました。きっかけはOTSのLINEグループオプチャができたことで、グループはどんどん巨大化していき、現在4000人を超えています。
そこでおばさんたちは日々、たわいもない話や、悩みや、情報や、楽しみを交換しているのです。
またそのLINEオプチャの中でも地域別のグループがあったり、登山部・映画部・読書部などの部活動も活発に行われています。登山部は実際に集まって登山もしているみたいですね。
それに飽き足らず、スーさんのイベントのあとなどにオフ会も開かれているようです。
そう。家事育児に仕事に忙しいおばさんたちは、段取りがうまい!!
管理人などは決まっていますが、誰とはなしにみんなが協力してスムーズに運営ができているのも、さすがおばさんたちです。
私がOTSを聞き始めたのはもうすぐで40代になるという頃で、そのタイミングでこの番組に出会えたのは本当に運命だったなあと思っています。
私はこの番組のおかげで、自分が中年になるということを受け入れられました。
これからも「OVER THE SUN」、そして互助会員たちと、老いを笑い飛ばしていけるのが楽しみです。